春風のなかで出会ったあの人

はい。

今日、会いましたね。

10年ぶりくらいでしたね。

 

あーーーー。

 

生きてるのか死んでるかすらわからなかったけど、

幸せでいてほしいと思っていた。

 

声をかけようかかけまいか悩んだけど、

結局、かけた。

 

ねぇ、と肩をたたいて、振り返った彼は、

一瞬の凝視のあと、うわぁっというような顔をした。

どんな反応なのか、どんな心なのか知りたいので、目を凝視しながら聞いた。

久しぶりだね   元気?

 

ワケのわかんない返答だった。

作り笑いと戸惑いの混じった不思議な顔で

同じだよ、と言った。

 

同じってなにが?と聞いたら

えっ…

みたいな顔。

 

この人は前からそうだ。

ひとに合わせようとしていて、

打たれ弱い。 

この再会においても、それなのか。

 

東京にいるの?と聞いたら 〇山に住んでるという。

〇山でずっと、まじめに、ホントにまじめにやってるよ 

となにかの言い訳みたいに。 

 

〇〇県にいってるんだよね?

 

ううん、いまは東京。シングルマザー暮らしだよ。

いま、親に預けて、もう帰らなくちゃいけないとこでさ。

 

そ、そっかぁ。…こどもいて、いいじゃん。おれ、こどももいないからさぁ。

 

 

うん、まぁね。。。

生きててよかったよ。生きてるのか死んでるかもわからなかったから。よかった。

 

あはは。。。

 〇〇ちゃんは、すごくスリムになったねぇ

 

 

ぶくぶくに肥って顔はパンパン

背中は丸くて髪はボサボサ

 

音楽きいて写真とったり楽しそうにしていたけど

精神的な問題があるであろうことは外見からもわかった。

それともトコトン他人を気にしない生き方を選んだのだろうか。